工場の暑さ対策とは?熱中症予防のために実践すべき具体的な方法を解説

工場内の気温の上昇は、生産性の低下や従業員の健康面への影響が懸念されます。適切な対策を講じることで、従業員の安全を確保しながら、生産性の維持・向上を実現することが可能です。本記事では、工場における効果的な暑さ対策の方法について解説します。

工場での暑さ対策が重要な理由

工場での暑さ対策は単なる快適性の問題ではありません。適切な対策を怠ると、以下のような問題につながる可能性があります。

作業効率・生産性への影響

工場内の高温環境は、直接的に作業効率と生産性に影響を及ぼします。細かい作業や高度な判断を要する工程では、その影響が顕著に表れがちです。高温による集中力低下は、製品品質の低下にもつながる可能性があります。

2010年2月の日本建築学会環境系論文集に掲載された「オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響」によると、室内温度が25.0℃から27.5℃になると、作業効率が4%低下することが示されています。この研究結果からも、温度上昇が作業効率に悪影響を及ぼすことがわかります。

参考:オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響|日本建築学会環境系論文集

従業員の熱中症予防

暑熱環境(高温・多湿で風通しが悪く、体温が上昇しやすい環境)での作業は熱中症のリスクを高め、重症化すると生命の危険も伴います。初期症状として頭痛やめまい、吐き気が現れ、適切な対応を取らないと意識障害にまで発展するおそれがあります。厚生労働省が発表した「熱中症による死傷者数の業種別の状況(2019~2023年)」によると、製造業は建設業についで、熱中症による死傷者数が2番目に多い水準でした。

また、暑熱環境下での長時間の作業は、疲労の蓄積や集中力低下による事故リスクも増大させます。

このようなことからも、工場内の温度管理が従業員の安全衛生において重要であることがわかります。

参考:職場でおこる熱中症|職場における熱中症予防情報

法令遵守の観点

労働安全衛生法では、事業者に対して適切な作業環境の確保を義務付けています。特に暑さについては、2021年に策定された「職場における熱中症予防基本対策要綱」に基づき、作業場所の「暑さ指数」の測定・管理をはじめさまざまな対策が求められています。

暑さ指数はWBGT値とも呼ばれます。単なる気温とは異なり、気温・湿度・輻射熱を組み合わせた指標で、この値に基づいて適切な作業管理を行う必要があります。

熱中症は適切な予防対策により防ぐことができる一方で、対策を怠れば労働安全衛生法違反となり、重大な事故発生時には管理責任を問われる可能性があります。事業者として、人命を守り、社会的な責任を果たすため、具体的な予防対策の実施が急務といえるでしょう。

参考暑さ指数について|職場における熱中症予防情報|厚生労働省

参考:職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について | 厚生労働省 [PDF]

工場内の温度上昇の主な原因

機械・設備からの放熱

工場内の温度上昇の最も大きな要因は、製造設備や機械からの放熱です。製造設備や生産機械は稼働時に大量の熱を発生させます。特に金属加工機械(プレス機、溶接機など)、モーターや発電機、乾燥・加熱工程の設備は、稼働時に大量の熱を発生させ、その熱が工場内に滞留することで室温の上昇を引き起こします。

建物構造による熱の滞留

工場特有の広い空間と高い天井により、上部に熱がこもりやすい構造となっていることが多いです。また、断熱性能が低い場合、屋根からの輻射熱も室温上昇の原因となります。特に古い工場建屋では、この問題が顕著に表れるケースが見られます。

外気温の影響

夏場の直射日光や外気温は、建物全体を暖め、室内温度を上昇させます。工場の屋根や外壁が金属製の場合、熱を吸収しやすく、室内環境に大きく影響することが知られています。

工場で実践すべき暑さ対策

工場の暑さ対策には、大きく分けて「建物・設備に関する対策」と「作業環境に関する対策」があります。それぞれについて解説します。

建物・設備における暑さ対策

工場内の温度上昇を防ぐためには、下記の導入が効果的です。

遮熱塗装

建物の屋根や外壁への遮熱塗装は、太陽光を効果的に反射して室内温度の上昇を防ぎます。通常の塗装に比べて熱を反射しやすく、特に金属屋根では二重折板工法と組み合わせることで、より高い断熱効果が期待できます。導入コストはかかるものの、長期的な視点では電気代の削減にもつながります。

遮熱シート・フィルム

窓やトップライトへの遮熱フィルム設置は、日射熱を大幅にカットしながら自然光は取り入れられる効果的な対策です。西日の影響が大きい窓に設置すると、室内温度の上昇を大幅に抑制できます。施工も比較的短期間で完了するため、導入しやすい方法といえるでしょう。

スポット空調

スポット空調は、作業者が固定の場所で長時間作業する工程に適した対策です。首振りや風量調整が可能な機種を選ぶことで、作業内容に合わせて冷気を的確に届けられ、全体空調と比べて少ない電力で効果的な温度管理が可能です。省エネと快適性を両立させる方法といえます。

大型扇風機

工場の天井や壁面に大型扇風機を設置することで、空気の滞留を防ぎ、体感温度を下げることができます。特に高天井の工場では、上部にたまった熱気の循環に効果的です。比較的低コストで導入できるという利点があります。

ビニールカーテン

作業エリアを区切るビニールカーテンを設置することで、冷気の拡散を防ぎ、空調効率を高めることができます。出入り口や荷物の搬入口付近、空調エリアの境界に設置すると、冷気の流出を最小限に抑えられます。透明タイプを選べば視認性も確保できます。

作業環境における暑さ対策

作業環境の暑さ対策には、次のような方法があります。

休憩スペース・給水所の設置

冷房の効いた涼しい休憩所を作業場所の近くに設置し、定期的な休憩を取りやすい環境を整えます。また、作業エリアには給水機、製氷機、塩分補給用の飴・タブレットを配置し、こまめな水分補給を促します。休憩のタイミングをアラームで知らせるといった工夫も必要です。

作業時間の管理

気温の高い時間帯を避けた作業スケジュールの調整や、暑さ指数に応じた休憩時間の設定が効果的です。熱源の近くでの作業は、交代制を導入するなど負担を分散させることで、従業員の健康リスクを軽減できます。暑さ指数を継続的にモニタリングし、それに基づく柔軟な作業管理が求められます。

熱中症対策グッズの活用

作業環境や状況に応じた熱中症対策グッズの活用は、従業員の体感温度を下げ、熱中症リスクを効果的に軽減できる即効性の高い方法です。次のようなグッズがあります。

  • ファン付きの作業服・ヘルメット
  • 速乾性・通気性の高い作業服
  • 冷却ベスト
  • 冷感インナーシャツ
  • クールネックタイ
  • 冷却スプレー・タオル など

熱中症対策グッズは、コスト面や実用性を考慮しながら、工場環境や作業内容に適したものを選ぶことが大切です。特に夏場のピーク時には、複数の対策グッズを組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

工場の暑さ対策で従業員の安全な職場環境の維持に努めよう

工場における暑さ対策は、従業員の健康と安全を守りながら、生産性を維持・向上させるために不可欠な取り組みです。対策にはさまざまな選択肢がありますが、複数の対策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。自社の状況に応じて、実施可能な対策から着実に取り組むことが必要です。

熱中症対策グッズの活用は、取り組みやすい暑さ対策のひとつです。保冷剤付き冷却ウェアICETRUST(アイストラスト)は、長時間にわたり0度前後の冷感を維持し、深部体温の上昇を効果的に抑制できます。電源を必要とせず、保冷剤が2個あれば1日中快適に作業が可能です。より安全で快適な作業環境の整備のためには、ぜひICETRUSTの導入をご検討ください。導入や商品詳細については「お問い合わせ」より、ご相談ください。また、大量納品にも対応しています。

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