厨房の暑さ対策8選|熱中症を防ぐためのグッズ・設備・温度管理を解説

飲食店の厨房は、火元や蒸気の影響で、一般的なオフィスと比較し高温多湿になりやすい環境にあります。熱中症リスクや食品衛生への影響を踏まえると、暑さ対策は夏場に限らず年間を通じた安全管理として取り組む必要があります。
本記事では、厨房で暑さ対策が重要な理由、高温多湿になる原因から具体的な対策までを幅広く解説します。
目次
厨房の暑さ対策が重要な理由
飲食店の厨房における暑さ対策が重要な理由は、主に次の2点です。
従業員の熱中症リスクが高まるため
コンロやフライヤー、オーブンなどが常時稼働する厨房では、火元付近の体感温度が非常に高くなります。高温環境での長時間の立ち仕事は体力の消耗が激しく、気づかないうちに熱中症が進行するリスクがあります。特に繁忙時間帯は水分補給や休憩が後回しになりやすく、体調不良からサービス品質の低下につながるおそれがあります。
食品衛生・温度管理の難易度が上がるため
厨房内の温度・湿度が高い状態では、食材の劣化が進みやすく、適切な温度管理の難易度が上がります。冷蔵・冷凍庫の開閉が多い場合には、外気温の影響で庫内温度が上昇しやすく、品質のばらつきや食品ロスの増加にもつながります。
また、外気温が高い夏場は停電や機器トラブル時の温度上昇も早まるため、日常の管理だけでなく非常時への備えも合わせて検討しておくことが重要です。
厨房が高温多湿になりやすい原因
調理機器からの発熱
ガスコンロやフライヤー、オーブンなどの調理機器は、稼働中に大量の熱を放出します。複数の機器が同時に稼働する繁忙時間帯は特に発熱量が多く、室温が急激に上昇しやすくなります。
調理工程で発生する蒸気
茹でる・蒸すといった調理工程では大量の蒸気が発生し、厨房内の湿度を押し上げます。高温と高湿度が重なることで、体感温度はさらに高くなります。
換気・空調のバランスの乱れ
換気と空調のバランスが崩れると、熱気が厨房内に滞留しやすくなります。換気が強すぎると空調効率が下がり、弱すぎると熱や湿気が排出されません。換気量と空調能力が合っていないと、冷房効率が落ち、電気代だけが増えるおそれがあります。
厨房の暑さ対策8選
厨房の暑さ対策は、日々の運用改善から設備の見直しまで、複数の視点で取り組むことが重要です。ここでは、現場で実践しやすい具体策を紹介します。
1. 温度・湿度を数値で管理する
厨房の暑さ対策を進めるうえでは、まず現状を数値で把握することが重要です。
火元付近と作業スペースなど2か所以上に温度計・湿度計を設置し、定期的に数値を確認できる体制を整えましょう。
より実態に近い暑さを把握するには、WBGT測定器(暑さ指数計)の導入も有効です。WBGTは、気温や湿度に加え、輻射(ふくしゃ)熱や風速を反映した指標です。厚生労働省は、WBGT28以上を目安に、休憩時間の確保や作業時間の短縮などの管理強化を推奨しています。アラーム機能付きのWBGT測定器を活用すれば、基準値超過を即座に把握でき、早期対処につなげられます。



参考:暑さ指数について|職場における熱中症予防情報|厚生労働省
2. 水分・塩分補給と休憩ルールを徹底する
高温環境では自覚がなくても大量の汗をかくため、水分だけでなく塩分・電解質を含む飲料の補給が重要です。休憩室に塩分タブレットや塩飴を常備しておくと、手軽に塩分補給ができます。また、繁忙時間帯でも交代で短時間の休憩を取れるよう、あらかじめルールを定めておくとよいでしょう。体調変化を早期に察知できる声かけ体制も合わせて整備することで、事故を未然に防ぐことができます。



3. 冷却グッズを活用する
保冷剤入りベストやネッククーラー、クールリングなどは、火元付近での作業時の負担を直接軽減できるアイテムです。設備改善がすぐに難しい場合、補助的な対策としても取り入れやすい方法です。保冷剤には万が一漏れても有害物質が発生しない食品添加物由来の素材を使用した製品もあり、食品を扱う厨房での利用でも安心です。



4. 機能性ユニフォーム・インナーを活用する
通気性・吸汗速乾性に優れた厨房ユニフォームや調理衣を選ぶことで、長時間作業での汗による不快感を軽減できます。冷却インナーを併用することで体温上昇をさらに抑えやすくなります。
5. 厨房環境に合った業務用エアコンを選ぶ
厨房の広さや機器の放熱量に見合った能力の機種を選ぶことが基本で、能力不足のままでは設定温度を下げても室温が十分に下がりません。油煙や高温環境の影響を受けやすいため、耐久性・メンテナンス性に優れた業務用機種を選定しましょう。
6. 換気設備を見直す
換気能力が不足すると熱気が滞留し、エアコンを稼働させても室温が下がりにくくなります。厨房の規模や機器配置に応じて、フードやダクトの能力・配置を見直すことが暑さの根本的な改善につながります。
7. スポットクーラーを活用する
フライヤーやコンロ周辺など特に高温になりやすい場所へのスポットクーラーの設置は、大規模な工事が不要なため比較的導入しやすい対策です。一方で、本体から排熱が発生するため、排気ダクトの設置方法や排熱経路を事前に確認する必要があります。処理を誤ると、室温がかえって上昇するおそれがあります。



8. 設備の定期清掃・点検を行う
ダクト内に油やほこりが蓄積すると排気効率が著しく低下し、換気設備本来の能力が発揮できなくなります。エアコンのフィルター汚れも冷却効率を大きく下げるため、合わせて定期的な清掃が必要です。
フライヤーやオーブンなどの調理機器は、不具合があると想定以上の熱が発生することがあります。定期点検で異常発熱を早期に発見することが、安全な厨房環境の維持につながります。
【夏場の停電への備え】冷蔵・冷凍庫の温度対策
厨房の暑さ対策は、従業員の安全や作業環境の改善だけでなく、食材の温度管理にも目を向ける必要があります。特に停電や機器トラブルに備えて、冷蔵・冷凍庫の温度対策をあらかじめ講じておくことが重要です。外気温が高い夏場は庫内温度が想像以上に早く上昇し、短時間でも食材の品質や安全性に影響が出る可能性があります。
あらかじめ冷凍した保冷剤を庫内に分散して常備しておくと、停電時の温度上昇を緩やかに抑えられます。開閉が多い繁忙時間帯の温度管理にも効果的です。
内容物が食品添加物のみの保冷剤「アイストラスト」のような製品であれば、万が一破損しても有害物質の流出リスクがなく、食品を扱う厨房でも安心して使用できます。
ご紹介したアイストラストの開発に関するお話をお伺いした記事は以下より、ご確認いただけます。
厨房の暑さ対策で従業員の安全を守ろう

厨房の暑さ対策は、休憩ルールから、エアコン・換気設備といった設備面の整備、さらに食品の温度管理や非常時への備えまで、多岐にわたります。1つの方法で解決するものではなく、複数の対策を組み合わせて取り組むことが重要です。
飲食店の現場では、温度・湿度の数値把握をひとつの起点としながら、その結果を踏まえて優先度の高い対策から検討していくとよいでしょう。
プラス株式会社ジョインテックスカンパニーでは、保冷剤入りベスト「アイストラスト」や温湿度アラーム、熱中症応急キットなど、厨房の暑さ対策に役立つグッズを幅広く取り揃えています。約1,500アイテム掲載の危機対策のキホンカタログの発刊及び、各種防災用品の取り扱い、全国で50名を超える防災士による事業所の対策状況に応じたご提案も行っております。
プラス株式会社ジョインテックスカンパニーが運営する、企業向け防災・BCP情報サイト「キキタイマガジン」運営事務局です。
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