中小企業こそBCP対策に取り組むべき
理由とは?取り組み内容も紹介

中小企業こそBCP対策に取り組むべき理由とは?取り組み内容も紹介

地球温暖化に伴い気候変動が起こっているといわれるなか、日本でも毎年のように大規模災害が発生しています。災害によって深刻な被害を受けると、企業の倒産リスクも高まります。そのためBCP対策が求められていますが、中小企業は大企業に比べて準備が万全とは言えないようです。そこで今回の記事では、中小企業こそBCP対策に取り組むべき理由や具体的な対策内容の例などを紹介します。

中小企業におけるBCPの現状

初めに中小企業でのBCP対策はどの程度実施されているのか、内閣府の統計データをもとに現状を紹介します。

▶中小企業のBCPに対する重要性の認識は上昇傾向

帝国データバンクが2021年に行った「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、BCPを「策定済み」と回答した中小企業は14.7%となっています。BCP策定率は年々緩やかに上昇しており、企業規模別でみると大企業は32.0%、中小企業は14.7%と、それぞれの規模で増加傾向にとなっています。しかし、依然として大多数の中小企業はBCP対策への取り組みが遅れていることも事実です。

▶大企業と中小企業のBCP策定率の比較

では、中小企業と比較して大企業はどのような状況でしょうか。前項で紹介したとおり、大企業では32.0%が「策定済み」と回答。中小企業の2倍以上の策定率となっています。地震だけでなく大雨や台風、感染症といったリスクが増すなか、企業の規模にかかわらず、BCP対策の重要性を認識して取り組む企業は増えています。しかし、大企業と比べると中小企業の策定率が低いことは明らかです。

▶中小企業のBCP策定率が低い理由

では、中小企業のBCP策定率が低い背景には何があるのでしょうか。内閣府が行った「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」のなかで、BCP対策を行っていない理由の上位には「取り組み時間・人員の不足」、「知識・情報不足」「業務を実施する中で、これまでリスクを想定してこなかった」が挙げられています。そこから、以下のような問題があり、BCP対策が進まないことが考えられます。

  • 具体的に何から始めればよいのか分からない
  • BCP策定経験がある人材がおらずノウハウがない
  • BCP対策よりも優先すべき経営課題が多い
  • 経営にとって重要度が高くないと認識している

中小企業がBCPを策定すべき理由

BCP対策は企業規模にかかわらず重要な課題のひとつですが、特に経営基盤が不安定な中小企業の場合、一層重要性は高いと言えます。中小企業こそBCP対策を急がなければならない理由は何か、3つの観点から解説します。

1.被災による業績悪化や倒産リスクを軽減できる

生産拠点や事業拠点が1ヵ所に集中しているケースでは、被災した場合に事業そのものが継続できなくなる可能性があります。特に大企業と比較して経営体力の弱い中小企業の場合、短期間であっても事業がストップしてしまうと倒産リスクが高まりやすいことから、BCP対策は重要です。

2.危機管理意識が高い企業であるという良いイメージが付く

BCP対策を推進する中小企業が少数派だからこそ、いち早く取り組むことで危機管理が徹底した企業であるというアピールにつながります。その結果、安定的なサプライチェーンを構築したいと考える企業との契約を獲得できることも期待できます。

3.自社の経営戦略や事業内容を客観的に見直す機会にもなる

BCP対策を講じる際には、事業内容をあらためて見直す必要があります。事業内容や業務の棚卸しをする機会にもなり、無駄の削減や業務効率化につながる場合があります。

中小企業がBCPに盛り込むべき内容

では、実際に中小企業がBCPを策定する場合、どのような内容を盛り込むべきでしょうか。中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」において、BCPには以下の5つの特徴があるとしています。その5つの特徴をベースに盛り込むべき内容を考えていきます。

1.優先して継続・復旧すべき中核事業(会社の存続に関わる最も重要な事業)を特定する

複数の事業の中から、災害が発生したあとに優先的に復旧する事業をピックアップします。緊急時には平常時と同様の体制で事業を継続することが難しいため、会社を存続することを第一に考えたうえで優先して継続すべき事業を絞り込みます。

2.緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく

次に、経営を存続させるために、中核事業の復旧時間を目標として定めます。ただし、目標を定めていたとしても緊急時には想定外の状況になることもあるため、被害規模から状況を判断して復旧までの期間を再設定することも重要です。

3.緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客とあらかじめ協議しておく

災害時の限られた物資やインフラのなかでは、平常時と同等のサービスレベルを確保できるとは限りません。そこで、顧客や取引先との間で緊急時の体制も含めて協議します。例えば、「平常時よりも納期を3日後ろ倒しに設定する」といったように、具体的なサービスレベルを設定しておくことも大切でしょう。

4.事業拠点や生産設備、仕入品調達などの代替策を用意しておく

拠点を1ヵ所に集中させるのではなく、複数に分散することも重要です。また、部品や原料などの調達先を複数確保しておくことで、事業のストップを未然に防止でき、万が一の場合でも早期の立て直しが可能となります。

5.すべての従業員と事業継続についてコミュニケーションを図っておく

事業復旧に向けた体制を社内で確保しておきましょう。責任者を決めると同時に、責任者が出社できない場合も想定し、代理責任者を複数選定しておくことも重要です。さらに、緊急時に取るべき行動をマニュアルとしてまとめて従業員へ配布し、従業員自身が適切な行動を取れるように訓練しておくことも必要でしょう。
以上の5つの特徴を念頭に、自社の状況に合ったBCPの策定・運用を実施していきましょう。策定・運用の具体的方法について、中小企業庁のサイトで詳しく説明していますので、ご確認ください。

中小企業こそ万全なBCP対策を立てておこう

大企業に比べて経営基盤が不安定な中小企業は、災害時に事業がストップすることで倒産リスクが高まります。そのため、中小企業こそ万全なBCP対策を立てておくことが重要と言えるでしょう。まだBCP対策が十分でない場合は、中小企業庁が公開している運用指針も参考にしながら、具体的な計画を検討し、社内で共有しておくことをおすすめします。なお、企業規模にかかわらずBCPの詳細については、「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」で解説しています。あわせてご参照ください。

【参考】

【関連コラム】BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説