BCPの策定はどのように進めるべき?
流れに沿って手順を解説

BCPの策定はどのように進めるべき?流れに沿って手順を解説

災害が発生した際、企業にとって従業員や顧客の安全を守ることは重要な役割のひとつです。それに加えて、社会的責任を果たすため、自社を存続させていくために事業を継続していくことも、優先すべき課題です。そこで重要になるのがBCPの策定です。今回は、どのような手順でBCPを策定していけばいいのかを、中小企業庁が提示する「中小企業BCP策定運用方針」に沿って解説していきます。
まずは、BCP対策の基礎的な知識について知りたい方は「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」もあわせてご一読ください。

BCP策定の手順

BCP対策の進め方にはさまざまな方法がありますが、基本的には次の1から5の手順で進めるのが一般的です。

それぞれ具体的な内容を見ていきましょう。

基本方針の立案

はじめに、BCP対策の目的を定めることからスタートします。業種や企業によってもBCP策定の目的はさまざまですが、大きく分けると以下の5つのポイントに集約できます。

▶顧客および従業員の安全を守る
▶自社の経営を維持する
▶顧客からの信用を守る
▶供給責任を果たし、従業員の雇用を守る
▶地域経済の活力を守る

基本方針の立案に当たって重要なのは、「顧客」「従業員」「地域」「その他」の観点から検討することです。それらの観点から、災害が発生した際どのような影響が考えられるかをピックアップすると、基本方針が立てやすくなります。

重要商品の検討

緊急時には従業員が出社することが難しかったり物流が滞ったりして、十分なリソースを確保できないケースも少なくありません。その結果、通常どおりに事業を継続することが困難な状況に陥ることもあるでしょう。そこで、自社の経営を維持しつつ顧客からのニーズも守るために、最も優先度の高い商品やサービスを選定する必要があります。あらかじめ重要商品を選定しておくことで、有事の際にも優先事業を継続することができると同時に早期復旧にも繋がり、企業として生き残っていける可能性が高くなります。また、業種によっては商品やサービスを提供し続けることが顧客の命に直結する場合もあります。例えば、交通インフラや物流、ライフラインを支える業種においては、自社が生き残るだけでなく企業としての社会的責任を果たすことも重要課題です。

被害の想定

まずは、災害が発生した場合、社屋や工場、生産設備など、被害を受ける可能性があるものをイメージします。加えて、さまざまな社会インフラが被害を受けて事業に影響を与えるケースも考えられるでしょう。その結果、以下のような影響が想定されます。

▶ライフライン(電気・水道・ガス):本社や支社、営業所の機能を果たせない
▶情報通信:顧客や取引先、従業員との連絡が取れない
▶道路:物流が滞り、物資が届かない
▶鉄道:従業員が出社できない

上記以外にも、自社において被害が想定されるものがないか、しっかり検討していきます。
大規模災害時の具体的に考えられるリスクについては、「防災担当者必見 大規模災害を乗り切るためのBCP 〜リスクの想定と事前にできる備えとは〜」でも詳しくご案内しています。是非ご確認ください。

【参考】

【関連資料】防災担当者必見 大規模災害を乗り切るためのBCP~リスクの想定と事前にできる備えとは~

事前対策の実施

上記で挙げた被害状況が想定されるものに対して、代替手段または事前対策を検討します。例えば社会インフラが被害を受けた場合の具体的な対策例としては、以下のような項目が挙げられます。

▶ライフライン:電気の供給がストップした場合に備えて発電機を配備
▶情報通信:携帯電話や固定電話が不通になった場合を想定し衛星電話を配備
▶道路:道路が寸断された場合を想定し複数の配送ルートを確保
▶鉄道:自宅でも仕事ができるようテレワーク環境を整備

ほかには、就業時間中に災害が発生した場合、従業員の安全を守るため社内で一定期間過ごすことも想定されるでしょう。人数分の食料や保存水などの確保も重要な事前対策のひとつに挙げられます。企業が用意しておきたい防災備蓄品や必要な量については、「企業における防災備蓄品 必要量の目安と選定のポイントは?」をご参照ください。
なお、購入した備蓄品の管理も重要な業務ですが、管理担当者様にとっては日常業務に落とし込みにくい業務であることから負担になりがちです。その負担を軽減するため、弊社では「防災備蓄用品管理代行サービス」を取り扱っております。企業防災への取り組みの一環として、ぜひご活用をご検討ください。

【参考】

【関連コラム】 企業における防災備蓄品 必要量の目安と選定のポイントは?

緊急時の体制の設備

事前対策を講じていたとしても、災害発生時は現場が混乱し統制が取れなくなるケースも想定されます。いざという場合でも落ち着いて対応が取れるよう、緊急時の責任者を決めたうえで対応内容をマニュアルとして定めておくことも重要です。企業や組織が定期的に実施している防災訓練や避難訓練の際には、マニュアルに沿って緊急対応のシミュレーションを行っておきましょう。これにより、災害発生時においても落ち着いた対応が取れる可能性が高くなります。また、責任者を立てておいたとしても、緊急時に不在または連絡が取れないケースも考えられます。そのような場合に備え、代理責任者を複数立てておくことも組織体制の整備においては重要なポイントです。
 
マニュアルの作成については、「BCPマニュアル作成のポイントは?マニュアルが必要な理由と活用方法も紹介」「BCPテンプレートはどう活用する?押さえておきたいポイントも紹介」でもご案内しておりますので、併せてご確認ください。

▶手順を踏んで適切なBCP策定を

災害発生の緊急時は、現場が混乱を来し正常な判断ができなくなることもあります。また、限られたリソースのなかで事業を存続させていくためには、事前の対策や計画が不可欠です。BCP策定を行っておくことで、緊急時においての冷静で的確な対応につながり、事業継続・早期復旧が可能になるでしょう。

【参考】

【関連コンテンツ】 中小企業BCP策定運用指針|中小企業庁
【関連コラム】 BCPマニュアル作成のポイントは?マニュアルが必要な理由と活用方法も紹介
【関連コラム】 BCPテンプレートはどう活用する?押さえておきたいポイントも紹介

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