店舗の防犯対策10選!警戒すべき犯罪や効果的に実施するポイントも解説

日々の店舗運営において、防犯対策は欠かせない取り組みの一つです。店舗を狙う犯罪は多種多様で、その被害は金銭的損失だけでなく、従業員や顧客の安全、店舗の信頼にも関わる問題となっています。本記事では、店舗の防犯対策が重要性を増している背景から、店舗を狙う犯罪の種類、そして具体的な防犯対策10選とその効果的な実施ポイントまでを徹底解説します。
目次
店舗の防犯対策が重要性を増す背景
警察白書(令和6年版)によると、近年の犯罪傾向として、組織的な犯罪グループが店舗をさまざまな形でターゲットにしていることが報告されています。これらの組織犯罪は、繁華街・歓楽街の一部の店に限った問題ではありません。SNSで募った実行犯による強盗事件や、コンビニでの電子マネーを悪用した特殊詐欺など、一般的な店舗が犯罪の標的や犯罪実行の手段とされるリスクが高まっています。
こうした状況では、警察の取締りだけに頼るのではなく、店舗側の自主的な防犯体制の構築が不可欠となっています。
店舗を狙う犯罪の種類
店舗が警戒すべき主な犯罪タイプについて解説します。
不法侵入
不法侵入は、多くの店舗犯罪の入り口となる行為です。営業時間外に店舗に無断で立ち入り、窃盗や破壊行為などの二次犯罪につながります。主に、深夜から早朝にかけて発生し、裏口や窓など目立たない場所からの侵入が特徴です。防犯設備が少ない店舗や、周囲から見えにくい場所にある店舗、現金を多く扱う店舗が特に標的になりやすくなっています。
窃盗・強盗
窃盗には、営業時間内の万引きと営業時間外の侵入窃盗の2種類があります。
万引きは、客を装って入店し、死角や従業員の少ない時間帯を狙うのが特徴です。アパレル商品や書籍、医薬品など、持ち出しやすく転売価値の高い商品を扱う店舗では、特に注意が必要です。
一方、強盗は暴力や脅迫を伴い、店舗に重大な人的・物的被害をもたらします。24時間営業店や現金取扱量の多い店舗が狙われやすい傾向にあります。
放火
放火は、金銭的な利益を直接の目的としない犯罪ですが、店舗に甚大な被害をもたらします。恨みやいたずら、放火癖などさまざまな動機で発生し、ゴミ置き場や店舗裏など人目につきにくい場所が狙われやすくなっています。建物の損壊だけでなく、人命に関わる危険性も高い犯罪です。
器物損壊
器物損壊には、窓ガラス破壊、落書き、設備破壊などがあります。単独で発生することもあれば、窃盗などの前段階として行われることもあります。被害額自体は比較的小さい場合でも、修理費用に加えて営業停止による機会損失も発生するおそれがあります。
暴行・傷害
店舗内での暴行・傷害事件は、従業員や他の顧客の安全を脅かすおそれがある深刻な犯罪です。クレーム対応時のエスカレーションや、飲食店での酔客による暴力行為、万引き犯人の逃走時の抵抗など、さまざまな状況で発生します。人的被害を伴うため、金銭的損失以上に店舗経営に大きな影響を与える場合があります。
店舗が実施すべき防犯対策10選
店舗が実施すべき実践的な防犯対策を10選紹介します。
1. 防犯カメラの設置
防犯カメラは、犯罪の抑止と証拠の確保という二重の効果を持つ基本的な防犯アイテムです。出入口やレジ周り、商品棚などに死角を作らないよう配置し、「防犯カメラ作動中」の表示を併用することで、より高い抑止力が期待できます。最近では、高解像度かつ広角で撮影できる手頃な製品も多く、小規模店舗でも導入しやすくなっています。
2. 防犯ガラス・フィルムの活用
ガラス破りは侵入手口のなかでも特に多い手法なため、その対策は必須です。一般的なガラスは数秒で破壊可能ですが、防犯ガラスや防犯フィルムを導入することで破壊されにくくなり、侵入に時間がかかるようになります。ショーウィンドウや入口のガラス部分、裏口の窓などへの導入が効果的です。
3. 侵入検知センサーの設置
侵入検知センサーは、不法侵入をいち早く察知するための効果的な防犯ツールです。ドアや窓の開閉・衝撃を感知するタイプや、店内の動きを検知する赤外線センサーなどがあります。異常があれば、警報音やスマートフォンへの通知で即座に対応できるものもあります。
例えば、「窓ピタッアラーム」は、窓に貼るだけで簡単に設置でき、開閉や衝撃をしっかり検知してくれる手軽な防犯アイテムとしておすすめです。
4. 堅牢な鍵・錠前システムの設置
ピッキングや破壊に強い高性能な鍵は、侵入犯罪の第一の防御線となります。ディンプルキーや電子錠など解錠が困難なタイプを選び、メインの入口だけでなく、裏口や窓の鍵も同様に強化することが重要です。
5. 人感センサー付きライトの整備
人の動きを検知して自動的に点灯するセンサーライトは、夜間の防犯対策として効果的です。店舗の裏口や死角になりやすい場所に設置することで、不審者の接近を検知し、照明で威嚇する効果があります。最近では、LEDタイプの省エネモデルも増えており、電気代を気にせず導入できるのも利点です。
6. セキュリティサービスの利用
セキュリティサービスを活用することで、店舗の防犯体制を大きく強化できます。セキュリティ会社による24時間の機械警備や警備員による定期的な巡回、非常時に即座に通報できる緊急通報システムなどが代表的なサービスです。
7. 店舗レイアウトの工夫
死角を作らない商品陳列や、高額商品を視認性の高い場所に配置するなど、店内レイアウトの工夫は万引き防止に効果的です。レジの位置を入口が見渡せる場所に設置し、鏡やモニターを活用して死角をカバーすることが有効です。また、店舗内を十分に明るくすることも重要です。
8. 声掛け・接客の徹底
「いらっしゃいませ」の声掛けや、顔を見ての挨拶は、誰でもすぐに実践できるシンプルで効果的な万引き対策です。犯行を企てる人物は、「自分が認識されている」と感じると警戒心が高まり、犯行を諦めるケースが少なくありません。日常的な接客の中に防犯効果を組み込める方法です。
9. 複数人勤務体制の確保
夜間や早朝、閉店時などのリスクが高い時間帯は、可能な限り複数人での勤務体制を確保しましょう。一人勤務が避けられない場合は、定期的な見守り電話や防犯ブザー、緊急通報システムなどのバックアップ対策が必要です。
10. 現金管理の徹底
現金は犯罪の大きな標的となるため、店舗内に現金を残さない仕組みづくりが重要です。レジ内の現金は最小限にとどめ、金庫へ定期的に移す運用を徹底しましょう。キャッシュレス決済の導入も、現金取扱量を減らす根本的な対策として有効です。
店舗の防犯対策を効果的に実施するポイント
より効果的な防犯体制を構築するためには、以下の3つのポイントも必要です。
防犯マニュアルの整備
明確なルールを定めた防犯マニュアルは、従業員の適切な対応を支える土台です。開店・閉店時の確認、不審者や万引きへの対応、緊急時の連絡手順など、具体的な行動を文書化しましょう。内容は定期的に見直し、全従業員が理解・実践できるよう、研修や訓練とセットで運用することが大切です。
日常業務のなかでも、朝礼での確認や店内巡回の習慣化など、継続的な意識づけを行うことで、「自分たちの店を守る」という当事者意識を持つことにつながります。
従業員の退職時におけるセキュリティ管理の徹底
退職者を通じたセキュリティリスクは見落とされがちですが、情報漏洩や不正アクセスを防ぐ重要なポイントです。退職時には鍵や社員証の回収、暗証番号やパスワードの変更、POSシステムやセキュリティシステムのアカウント削除など、物理的・デジタル的アクセス権限を速やかに無効化する必要があります。
店舗特性に基づく対策の優先順位付け
各店舗の立地条件や営業形態、取扱商品、顧客層などによって、直面する犯罪リスクは大きく異なります。例えば、繁華街の夜間営業店舗と住宅街の日中営業店舗では、必要な防犯対策も異なるでしょう。効果的な防犯体制を構築するためには、まず自店の特性を客観的に分析し、想定されるリスクを明確化することが重要です。
防犯対策は店舗の特性に合わせて行うことが重要
店舗を狙う犯罪は、不法侵入から窃盗、強盗、放火、暴行までさまざまなタイプがあります。これらのリスクに対応するためには、防犯カメラや侵入検知センサーなどの設備導入、従業員教育、運用面の改善など、複合的なアプローチが求められます。各店舗によってリスク要因は異なるため、自店の状況を客観的に分析し、優先順位を付けた対策の実施が重要です。
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