フェーズフリーとは?
「いつも」と「もしも」2つのフェーズを
フリーにするという新しい価値観
非常食やポータブル電源など、万が一の災害に備えた防災備蓄品にはさまざまなものがあります。しかし、日常生活のなかで使用する機会がない備蓄品は、いざというときに保管場所が思い出せなかったり使い方が分からず戸惑ってしまったりといったことも少なくありません。このような事態を防ぐために、「フェーズフリー」という概念が注目されています。本記事では、フェーズフリーの定義と企業ができるフェーズフリーの取り組み例などを解説します。
目次
防災対策における新たな考え方「フェーズフリー」とは
フェーズフリーとは、普段から使用しているものやサービスを、日常時だけでなく非常時にも役立てるという考え方です。防災備蓄品は、非常時に備えて保管・管理しておくケースが一般的で、日常的に使用する機会は基本的にありません。そのため、防災備蓄品の用途は分かっているものの、いざというときに保管場所や開封方法、使い方などが分からないことがあるという問題があります。
せっかく備蓄しておいても、非常時に活用できないのでは意味がありません。フェーズフリーな防災対策では、日常時に愛着を持って利用しているものを、非常時にも役立てることができる。いつものときも、もしものときも、常に私たちが快適に心地よく活用できるモノやサービスなのです。
「もしも」のときも日常生活と変わらず暮らせるアイデア
一般社団法人フェーズフリー協会では、フェーズフリーな商品やサービスを大きく次の4つのカテゴリに分けています。フェーズフリーな防災対策を講じる際の参考になりますので、概要を理解しておきましょう。
1.防災および特定の職業などで日常時に利用しているもの
1つ目のカテゴリは、以下のような日常時には特定の人が利用しているものを非常時にも利用することです。
- テント
- 寝袋
- LEDランタン
- 発電機
- ポータブル電源 など
2.利用方法を工夫することでフェーズフリーの価値を提供できるもの
日常時に飲食したり使用したりするものも、工夫によってはフェーズフリーな防災対策実現につながります。例えば、次のような日用品や食料品、飲料などをある程度ストックしておき、使用期限や賞味期限が近づいてきたものから消費して新しいものを補充する、いわゆるローリングストック法で管理できるものがこれに当たります。
- 飲料水
- トイレットペーパー
- カイロ
- 乾電池 など
3.日常時・非常時ともにフェーズフリーの価値を提供しつづけられるもの
私たちが日常生活で使用しているもののなかにも、フェーズフリーの価値を提供できるものがあります。
- モバイルバッテリー
- スマートフォン
- ラジオ など
なお、一般的なボールペンはぬれた紙に書いたり上向きや横向きで書いたりすることが難しいため、フェーズフリーな価値がありません。しかし、加圧ボールペンであればそのような状況下でも書くことができ、もちろん日常的にも使用可能です。そうした商品も、このカテゴリに入ります。
4.非常時に日常時とは異なる用途でフェーズフリーの価値が発揮できるもの
日常時の基本機能を、非常時に別の機能として利用する方法です。日常時と非常時とでそれぞれ異なる機能を利用できる製品の一例としては、以下のようなものがあります。
- プラグインハイブリッド車(PHEV)
- 計量できる飲料紙コップ など
企業でできるフェーズフリーの取り組み
フェーズフリーの概念を生かし、企業が実際にできる具体的な取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。2つの取り組み事例を紹介します。
▶ローリングストック法の活用へ
災害時に必要となる水や食料、日用品などは普段から少し多めにストックしておき、賞味期限や使用期限が近いものから消費をするローリングストック法は、フェーズフリーの有効な取り組みとなります。消費したら消費した分だけ新たに買い足していくことで期限管理の効率化にも繋がります。
ローリングストック法について詳しくは、「ローリングストック法とは?企業が実施する際のポイントも解説」をご覧ください。
▶フェーズフリーに対応したオフィス家具・備品選び
オフィス家具や備品選びも、工夫によってはフェーズフリーな取り組みになります。例えば、 パーティションにもなるホワイトボードは避難生活の際のプライバシー確保に効果を発揮します。また蓄光材を塗布したLEDライトは、停電時にも一定の明るさを確保できるでしょう。このように、フェーズフリーに対応した製品をオフィスに導入することで、災害時の避難をスムーズにしたりオフィスでの待機時のストレスを軽減させたりできるほか、非常時に慌てないための対策にもなります。
【参考】
【関連コラム】「ローリングストック法とは?企業が実施する際のポイントも解説」
フェーズフリーの実践が災害時の落ち着いた行動につながる
日常時と非常時などのフェーズに関わらず、適切な生活の質を確保しようとする概念「フェーズフリー」。フェーズフリーな防災対策には、無駄がない、万が一のときにも落ち着いて必要な行動がとれるなど、さまざまなメリットがあります。
まだ聞き慣れない言葉だとしても、フェーズフリーは決して難しいものではありません。ローリングストック法の導入やオフィス環境の見直しなど、企業ができるフェーズフリーな防災対策はごく一般的な防災対策と変わりません。今回紹介した内容を参考に、フェーズフリーの実践を検討されてはいかがでしょうか。
フェーズフリー商品の導入をご検討中の方には以下よりフェーズフリー商品を紹介しています。
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【参考】
【関連コンテンツ】 フェーズフリーとは | フェーズフリー協会
【関連コンテンツ】 フェーズフリー・オフィス | ASKUL
【関連コンテンツ】 フェーズフリーの価値提供の4つの方法とは | フェーズフリージャーナル