防災マニュアルはどのように作る?
取り入れるべき内容や作り方のポイント

防災マニュアルはどのように作る?取り入れるべき内容や作り方のポイント

大規模災害やテロなど非常事態が発生した際に備え、防災訓練を実施しておくことは社員の命を守るうえで重要な取り組みです。しかし、訓練をしていても災害発生時に正しい行動が取れるとは限りません。いざというときに冷静な行動を取るためにも、防災マニュアルは必要不可欠な存在と言えるでしょう。そこで今回は、防災マニュアルに記載すべき内容や作り方について分かりやすく解説します。

防災マニュアルの必要性

定期的に防災訓練を行っている企業でも、「防災マニュアルをわざわざ作る必要はないのでは?」と考えるところもあるかもしれません。防災マニュアルを作成する意義や重要性についてあらためて見ていきましょう。

▶防災マニュアルの役割

防災マニュアルとは、非常時における社員の行動指針を定めたものです。日ごろから訓練を経験していたとしても、非常事態が発生した場合には普段と同じ行動が取れるとは限りません。冷静な判断ができずに逃げ遅れたり、二次災害に巻き込まれたりするといったことも考えられます。また、災害が発生した場合、誰が現場の陣頭指揮を取って社員の安全確認や復旧作業を進めるのか、組織体制が整っていなければ混乱を招くおそれがあります。このような事態を防ぐためにも、防災マニュアルにまとめた行動指針に沿ってシミュレーションをしておくことが大切です。万が一の際にも冷静な行動を取れる可能性が高まります。

防災マニュアルの作り方

防災マニュアルは緊急時でも正確に内容を把握でき、素早く役立てられることが前提です。また、社員に開示し、いつでも誰でも確認できるようにしておかなければなりません。ここでは防災マニュアルに盛り込んでおくべき内容について紹介します。

▶災害時の組織体制、役割分担

災害が発生した場合、いち早く復旧を目指すためにも社内に防災対策会議や災害対策班といった対策本部を設置する必要があります。誰をメンバーとして招集するのかはもちろんですが、災害対策本部の設置基準や設置場所なども防災マニュアルへ記載しておきましょう。なお、構成メンバーは組織の意思決定ができる職位である必要があります。さらに、休日や退勤後でも招集できるよう、社員の自宅から職場までの距離も考慮しておきましょう。

▶社員から情報収集する際の手段と内容

社員の安全確認や現場の被害状況の確認など、情報収集のための通信手段を複数確保しておきましょう。また、防災マニュアルにはあらかじめ収集すべき情報を以下のように精査して記載しておく必要があります。

  • 社員およびその家族の安否
  • 出社可否
  • 自宅の損傷状況
  • 社屋の損傷状況
  • 生産ラインや交通網の状況
  • 電気や水道、通信などインフラの状況 など

さらに、上記の情報を一元化し集約できる体制を確保しておくことも重要です。

▶社員の緊急連絡網

素早く社員へ情報を伝達するために、連絡網を構成し、防災マニュアルへ記載しておきましょう。なお、1人の社員が連絡すべき人数は5人以内が理想とされ、あまりにも数が多いと情報の伝達が滞る可能性があるので注意しましょう。

▶初期対応・避難経路、避難場所について

災害発生直後に取るべき行動を優先順位に沿って設定しておきましょう。

  • 社員の安否確認
  • 負傷者の救護・救助
  • 避難経路の確認
  • 避難場所への誘導

といったように、防災マニュアルの目立つ位置に記載しておくことが重要です。また、社内に顧客や取引先などがいた場合には、安全確保ができた社員が避難誘導にあたることも明記しておくといいでしょう。

防災マニュアル作成のポイント

防災マニュアルの作成にあたっては、前項で紹介したような最低限取り入れるべき項目は必ず網羅しておきましょう。また、実際緊急時に役立てられるようにするためには意識すべきポイントがあります。特に重要な2つのポイントを紹介します。

▶「誰が」「いつ」「何をするか」を明確・簡潔に

防災マニュアルは緊急時でも的確な対応が取れる内容であることが前提となります。そのため、「誰が」「いつ」「何をするか」を明確に記載しておくことが大切です。災害対策本部の他にも情報班、消火班、救護班、応急物資班など責任者を選任しておくと共に、その対応内容についても記載しておくと良いでしょう。具体的には「災害発生時、社長(または副社長)は災害対策本部の設置を指示し、各班の責任者を招集する」といったように客観的に見てわかりやすい内容を心がけます。併せて、責任者が被災、連絡が取れない場合を想定し、代理人を決めておくと安心です。

▶定期的な内容の見直し

防災訓練の際に、防災マニュアルをもとに行動指針を確認、シミュレーションしておきましょう。このとき、現状の組織や実務内容に合わせて防災マニュアルの変更が必要な箇所がないかを確認しておくことも重要です。記載内容の変更が必要であれば、適切な内容へ更新しておきます。

防災マニュアルと並行してBCPも策定しておこう

災害発生時に冷静な行動を取るために、防災マニュアルの策定は必須です。企業の規模や業種、日々の業務によって防災マニュアルに取り入れるべき内容が異なってくるほか、組織体制や事業内容の変化に合わせて内容を更新していかなければいけないことにも留意しておきましょう。なお、人命を守るうえで防災マニュアルは不可欠ですが、企業にとっては事業を守ることも重要です。防災マニュアルを策定すると同時にBCP(事業継続計画)もあわせて策定しておく必要があります。BCPについて詳しくは、「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」「BCPの策定はどのように進めるべき?流れに沿って手順を解説」をご覧ください。

キキタイマガジンを運営している「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」では、
「モノ」、「コト」、「ヒト」、「情報」の4つのソリューションを提供しています。
4つのソリューションについてはこちらをご覧ください。

防災備蓄品の選定や入れ替えについて、ご相談のお問い合わせはこちらから。

【参考】

【関連コラム】BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説
【関連コラム】BCPの策定はどのように進めるべき?流れに沿ってz手順を解説