企業防災はなぜ重要?
防災と事業継続から考える具体的な取り組み
自然災害発生時、企業が最優先で行わなければならないことは、社員の命を守ることです。それと同時に、企業が存続していくためには事業継続にも取り組む必要があります。このように、防災と事業継続の2つの観点から取り組むのが企業防災です。今回の記事では、企業防災が重要な理由や、企業防災に求められる具体的な取り組みについて紹介します。
企業防災について、より詳細な情報を知りたい方は、お役立ち資料 「あなたの会社は大丈夫?企業防災が進まない3つの理由とその対策-企業防災を進める4つの方法」をご確認ください。
目次
企業防災とは
企業防災とはその名のとおり、「災害の発生に備えて企業が講じておくべき対策」のことを指します。防災と聞くと、災害からの被害を最小限に抑え、命を守るための対策というイメージが浮かびますが、それだけではありません。企業防災においては命を守ることに加えて、災害時でも企業活動を維持し早期復旧を目指す「事業継続」という観点も存在します。
企業防災が重要な理由
企業防災が重要な理由は、前述のとおり社員の命を守る必要があるからですが、実はそれは法でも定められています。労働契約法第5条において、社員の安全確保のための配慮が義務付けられているのです。 “使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。(引用:労働契約法のあらまし|厚生労働省)言い換えれば、企業が十分に安全に配慮しなかったことで、社員が業務中に被災した場合は、社員本人またはその家族などから損害賠償を求められる可能性があるということです。実際、2011年に発生した東日本大震災においては、安全配慮義務を怠ったと認められた企業に対して、損害賠償の支払いが命じられた判例もあります。 企業防災は企業のリスク管理の基本的な取り組みと言えます。
企業防災の取り組み
企業防災には「防災」と「事業継続」の2つの観点が存在することを紹介しましたが、具体的にどのような取り組みが求められるのでしょうか。「防災」と「事業継続」それぞれの観点から、取り組みの事例について紹介します。
▶防災
- 避難訓練
地震や火災などのさまざまな災害を想定し、避難訓練を行います。避難訓練では、ハザードマップを活用して会社の付近の危険箇所をチェックし、安全な避難ルートや避難場所を確認します。また、AEDの使い方や、備蓄品の使い方、非常食の作り方などについても事前に共有しておくと安心です。なお、忙しい業務の合間をぬってわざわざ避難訓練をせずとも全社員へマニュアルを配布して情報共有すればいいと考える人がいるかもしれません。しかし、避難訓練の実施は消防法第8条および第36条により義務付けられています。仮に法的義務がなくとも、マニュアルを読んでいるだけでは、いざ急な災害に見舞われたときにスムーズに動けない可能性があります。 また、社員のなかにはしっかり読まない人がいるかもしれません。社員の安全を守るには、やはり定期的な避難訓練の実施が必要です。
- 防災マニュアルの策定
突然の災害に直面したとき、冷静に対応するのは非常に困難です。そこでさまざまな災害を想定し、あらかじめその際に取るべき行動をまとめた防災マニュアルの策定は、有効な防災対策となります。「災害時の組織体制・役割分担」「災害時の情報収集の手段・内容・責任者」「緊急連絡網」「応急救護や避難場所」などについて、まとめていきます。内容は全社員に共有します。防災マニュアルについては、「防災マニュアルはどのように作る?取り入れるべき内容や作り方のポイント」でも詳細を紹介しています。
- 防災備蓄品の準備・管理
保存水や食料、毛布など、緊急時に不可欠な防災備蓄品をピックアップし準備しておきましょう。すべての社員に防災備蓄品が行きわたるよう、必要な数量を確保しておかなければいけません。また、いざというときに食べられない、使えないということのないよう、使用期限や消費期限もチェックしておかなければいけません。なお、防災備蓄品の種類や必要量などについては「企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?」でご紹介していますので、ご覧ください。
- その他の事前対策
その他事前にできる対策があれば積極的に対応しておきましょう。例えば避難経路に物が置いてあると、緊急時の脱出の妨げになり、命に関わることも考えられます。避難経路には物を放置せず、常にルートを確保しておくのが大切です。また、オフィス家具の転倒や窓ガラスの飛散によって避難が困難になるケースも予想できます。家具の転倒防止措置や、窓ガラスの飛散防止対策などもしておくといいでしょう。
確保しておくべき避難通路については、「オフィスの避難通路の幅はどの程度確保しておく必要がある?」をご参照ください。
▶事業継続
災害発生時に企業の損害を最小限に抑え早期復旧を目指すには、事業継続計画を策定しておく必要があります。中小企業庁においては、事業継続計画で重要なのは以下5点であるとしています。
1.優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
2.緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
3.緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客とあらかじめ協議しておく
4.事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
5.すべての社員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく
緊急時にはすべての事業を通常どおりに実施することは難しいため、事業継続計画の策定に当たっては、災害時でも継続すべき事業、復旧を優先すべき事業を特定しておかなければなりません。また、平常時とまったく同じサービスを展開することは困難と考えられるため、緊急時におけるサービスレベルをあらかじめ顧客と話し合っておくことも必要になるでしょう。さらに平常時の生産拠点や仕入先が被災した場合を想定し、代替策を準備しておくことも求められます。事業継続計画の重要性や流れなどの概要については「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」でも紹介していますので、ご参照ください。
【参考】
【関連コラム】防災マニュアルはどのように作る?取り入れるべき内容や作り方のポイント
【関連コラム】 企業における防災備蓄品-必要量の目安と選定のポイントは?
【関連コラム】 BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説
防災と事業継続の観点から企業防災に取り組もう
社員の命を守ることはもちろんですが、企業としての社会的責任を果たすとともに事業を継続させていくためにも、企業防災への取り組みは重要です。まずは、防災マニュアルの策定や避難訓練、防災備蓄品の購入など、災害発生時を想定した事前準備が必要です。防災備蓄品の管理については、弊社の防災備蓄品選定ツール「サクッとstock」がお役に立てます。サクッとstockをご活用いただくことで、貴社の希望条件に合わせた備蓄品のご提案をWeb上で簡単にシミュレーションいただけます。また、いつ起きるか分からない災害に備えるためには、購入した備蓄品の賞味期限や消費期限、使用期限の管理・維持をすることも重要です。そこでおすすめのサービスとして「防災備蓄用品管理代行サービス」をご用意しております。
企業防災への取り組みの一環として、ぜひご活用をご検討ください。
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