企業が行うべき
防災備蓄品の適切な管理プロセスとは?
万一の災害に備えて、企業は社員の命を守るために防災備蓄品を準備しておかなければなりません。しかし、単に防災備蓄品を購入し1カ所にまとめておくだけでは、全社員へ行き届かないことも想定されます。そこで重要となるのが、防災備蓄品の管理方法です。
本記事では、防災備蓄品の管理にあたって企業が注意すべきことや具体的な方法などを解説します。
なお、もっと詳しい内容が知りたい場合は、お役立ち資料「企業における防災備蓄品の効率的な管理・運用方法とは」でも解説しています。併せてご確認ください。
目次
防災備蓄に管理プロセスが重要な理由
適切な防災備蓄管理をするためには、どのようなプロセスで進めるべきなのでしょうか。
▶防災備蓄品の管理プロセスの基本
防災備蓄品の管理にあたっては、目的に応じて必要な品目と量を把握することが前提となります。そのうえで、どこに何が保管されているかといった情報を社員に共有すること、使用期限の管理や保管場所の検討をすること、および適切な保管方法で管理することが基本となります。
▶管理プロセスが重要な理由
東日本大震災をきっかけに、帰宅困難者対策条例を制定する自治体が増えました。例えば東京都の場合、事業者は最低3日分の防災備蓄品を用意しておくことが求められています。災害発生後、交通機関がマヒして被災地へ救援物資が届くまでに時間を要することも予想され、被災直後の3日間を自力で乗り越えるための準備が必要です。
防災において自助・共助・公助という概念がありますが、防災備蓄品を自社で備えることは自助にあたります。災害から復旧までの期間が長期化したとき、公助が届くまでの間、自分たちの命は自分たちで守るために、加えて地域社会と助け合うためにも、日頃から防災備蓄品を正しく備えておく必要があります。
自助・共助・公助について詳しくは、「自助・共助・公助が企業の防災対策に重要な理由とは?取り組み具体例も紹介」をご覧ください。
【参考】
【関連コラム】自助・共助・公助が企業の防災対策に重要な理由とは?取り組み具体例も紹介
防災備蓄品管理の具体的な方法
防災備蓄品の管理にあたっては、具体的にどういった方法で取り組めばよいのでしょうか。
▶目的に応じた防災備蓄品の確認
まずは、自社にとってどういった防災備蓄品が必要で、何を準備しておくべきかを確認します。保存水や非常食、携帯トイレ、毛布、懐中電灯、自家発電機、衛生用品などが代表的なものでしょう。
これらに加えて、業種や地域の特性によってもそろえておくべき品目は変わってきます。例えば、寒冷地では毛布だけでは足りない可能性もあるため、カイロがあると安心です。また、不特定多数の来客がある施設では、携帯電話の充電用に大型のモバイルバッテリーもあると重宝します。地域特性を理解するうえではハザードマップを確認しておくことも重要です。例えば、土砂災害や浸水の危険性が高い地域では、スムーズに避難できるよう長靴や運動靴を準備しておくのもよいでしょう。
必要な防災備蓄品の品目については、「企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?」も参考になります。ぜひご覧ください。
▶必要量の把握
防災備蓄品の品目だけでなく、必要量を把握しておくことも重要です。一般的な目安として、保存水は1人当たり1日3リットル、主食は1日3食、携帯トイレは1人当たり1日5〜7回分を最低3日分用意しておきます。自社の社員の人数分だけでなく、来客や避難住民なども想定し、余分に用意しておくと安心です。防災備蓄品の必要量についても、「企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?」をご参照ください。
▶社内への情報共有
防災備蓄品を必要な分だけ揃えていても、社員が保管場所を知らなければ、いざというとき役に立ちません。社内のどこに防災備蓄品を保管しているのか、万が一の際の取り出し方などをマニュアル化し、社員へ情報共有しておきましょう。
注意すべき項目を防災訓練やマニュアル見直しなどの際に定期的に確認しておくと安心です。防災マニュアルの作成に関しては、「防災マニュアルはどのように作る?取り入れるべき内容や作り方のポイント」や「BCPマニュアル作成のポイントは?マニュアルが必要な理由と活用方法も紹介」をご参照ください。
▶防災備蓄品の使用期限・賞味期限の管理
防災備蓄品の使用期限や賞味期限が切れる前に、新しいものに入れ替えることも忘れないようにしましょう。期限が近づいたものから消費する「ローリングストック法」で管理するのもひとつの方法です。ローリングストック法の詳細は、「ローリングストック法とは?企業が実施する際のポイントも解説」をご覧ください。「非常食の賞味期限はどのくらい?企業での適切な管理方法も紹介」も参考になります。
▶保管方法の適切な管理
防災備蓄品の保管場所は、万が一の際でも取り出しやすいところに設ける必要があります。例えば複数階にオフィスがある場合、エレベーターが停止することを想定し、1カ所にだけまとめておくのではなく、各階に配備するための工夫が必要です。
また、段ボール箱に保管する場合、段ボール箱の表面に品目を記載し、開封せずとも中に何が保管されているのか分かるようにしておくことも大切です。防災備蓄品の適切な保管方法については、「【企業担当者必見!】防災備蓄品の適切な保管場所と保管の注意点」もご参照ください。
【参考】
【関連コラム】企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?
【関連コラム】防災マニュアルはどのように作る?取り入れるべき内容や作り方のポイント
【関連コラム】BCPマニュアル作成のポイントは?マニュアルが必要な理由と活用方法も紹介
【関連コラム】ローリングストック法とは?企業が実施する際のポイントも解説
【関連コラム】非常食の賞味期限はどのくらい?企業での適切な管理方法も紹介
【関連コラム】【企業担当者必見!】防災備蓄品の適切な保管場所と保管の注意点
防災備蓄品管理の注意点
防災備蓄品の管理にあたって、注意しておくべき点を2つ紹介します。
▶使用期限・賞味期限を管理しやすくする
いざ必要なときに使用期限や賞味期限が切れていて、使えなければ意味がありません。段ボール箱の表面に品目とあわせて期限を明記し、ひと目で分かるように管理しておきましょう。
社員の人数が多く防災備蓄品の種類や量が多い場合や、支社や営業所といった複数拠点がある場合などは、防災備蓄品の品目や使用期限・賞味期限などについてまとめたリストを作成し、本社の担当部門が一元管理するのもよいでしょう。
▶保管場所の環境
高温多湿の場所では、防災備蓄品が劣化し使用できなくなることもあります。特に地下にある倉庫に保管する場合、湿度が高いことも多いため注意が必要です。
防災備蓄品の正しい管理は防災への第一歩
大規模災害が発生した際、救援物資が届くまでは自助に頼るほかありません。そのためにも、防災備蓄品を購入して終わりにするのではなく、使用期限の管理や保管場所の確認、万が一のときのための社員への情報共有など、日頃からの管理が重要となります。
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