コンティンジェンシープランとは何か?
BCPとの違いや策定方法を解説
災害が多い日本において、企業が安定的に事業を継続していくためにはさまざまな対策が必要です。そのひとつして注目されるのが、「コンティンジェンシープラン」と呼ばれる概念。今回は、混同されがちなBCP(事業継続計画)との違いや、策定方法、策定のポイントなど、コンティンジェンシープランの基礎知識について解説します。
目次
コンティンジェンシープランとは
コンティンジェンシープランとは何でしょうか? 企業がコンティンジェンシープランを策定する目的もあわせて紹介します。
▶コンティンジェンシープランとは
コンティンジェンシー“Contingency”とは、日本語で「不測の事態」と訳される英語。コンティンジェンシープランとは、災害やテロ行為、その他大きな事故など、企業にとって重大な事態が発生した場合に備えて対応策や行動指針を定めたものです。「緊急時対応計画」と呼ばれることもあります。
▶コンティンジェンシープランを策定する目的
企業は事業の運営にあたってリスク管理を十分に行っていなければ、想定外のトラブルや事故が発生した場合に対処することができません。例えば大規模災害が発生した場合、生産ラインの停止によって事業に大きな影響を及ぼすようなことも考えられます。そのような場合を想定して、トラブル発生時にいち早く業務を復旧させるための計画、すなわちコンティンジェンシープランを策定しておくことが重要なのです。
BCP(事業継続計画)との違い
コンティンジェンシープランと似た概念にBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」があります。BCPは、企業にとって不測の事態が発生した際に、事業を継続的に運営していくために策定する計画のことです。コンティンジェンシープランと極めて近い概念になりますが、BCPの大きな目的は不測の事態が発生した場合の「事業継続」であり、コンティンジェンシープランは、「被害を最小限に抑えること」です。
ただし、災害や大きな事故などが発生した場合に事業の継続を図るには、被害を最小限に抑えることが重要になります。そのため、コンティンジェンシープランの策定はBCPに含まれるといった考え方もあります。BCPについては、「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。
【参考】
【関連コラム】BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説
なぜコンティンジェンシープランが注目されるのか
昨今、企業におけるコンティンジェンシープランの策定がにわかに注目されるようになっています。それはなぜでしょうか? 2つの要因を紹介します。
▶災害リスクの高まり
1つ目の要因として、日本はもともと地震や台風といった災害発生頻度が高い国であることが挙げられます。今後高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震や首都直下型地震などに備え、国や自治体、企業における災害対策に注目が集まっています。また、大規模な地震や津波だけでなく、台風や大雨などによる被害も日本のあらゆる場所で発生するリスクがあります。事業を継続して企業が生き残っていくためにもコンティンジェンシープランは欠かせません。
▶グローバル化に伴う情報システムの重要性
経済のグローバル化に伴い、国内企業だけでなく海外の企業や顧客をターゲットにビジネスを展開する企業が増えています。そのようななかで情報システムは不可欠な存在であり、サイバーテロの被害に遭うリスクは決して低くありません。情報システムに深刻な被害が及ぶと、取引が不能となり、企業活動が停止する可能性があります。そのため自然災害だけでなくサイバーテロを防ぐためにもコンティンジェンシープランの策定が重要視されています。
コンティンジェンシープランの策定方法
コンティンジェンシープランを策定する場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。5つのフェーズに分けて紹介します。
①リスクの洗い出し
はじめに、災害やテロなどあらゆる可能性を考慮し、それらが発生した場合に事業においてどのようなリスクが考えられるかをピックアップします。
②緊急事態発生時の被害予測
ピックアップしたリスクが実際に生じた場合、どの程度の被害が及ぶのかをシミュレーションします。自社の事業に与えるインパクトや生じる損害額などを計算するとともに、それに合わせて継続すべき事業の優先順位を検討しましょう。
③リスク発生時の対応を定義する
事業を立て直すために、緊急時に構築すべき体制を検討します。本来の手順で業務を実行できない事態も想定されるため、そのような場合に備え代替手段を確保しておくと同時に、一連の対応方法をマニュアル化することも重要です。
④社員への周知、教育
緊急時に取るべき対応をまとめマニュアル化したら、経営層が確認のうえ承認し、従業員に周知しておきます。また、避難訓練のタイミングで緊急時の行動指針を確認しておくことで、万が一の際にもスムーズな対応を取りやすくなります。
⑤定期的な見直しと改善
避難訓練のタイミングでコンティンジェンシープランの内容を見直し、実情に合っていない内容があれば適宜改定しておきましょう。
万が一に備えてコンティンジェンシープランを策定しておこう
毎年のように発生している大規模災害、巧妙化するサイバーテロなど、企業を取り巻く脅威はさまざまに存在します。万が一の事態が発生した際に社員の安全を守り事業を継続していくために、コンティンジェンシープランを策定し備えておくことは、企業に求められる取り組みのひとつです。また、BCP対策としても着手していく必要があります。今後自社が巻き込まれる可能性のあるリスクを想定するところから、少しずつ進めていってはいかがでしょうか?
キキタイマガジンを運営している「プラス株式会社ジョインテックスカンパニー」では、
「モノ」、「コト」、「ヒト」、「情報」の4つのソリューションを提供しています。
4つのソリューションについてはこちらをご覧ください。
防災備蓄品の選定や入れ替えについて、ご相談のお問い合わせはこちらから。