DCP(地域継続計画)とは何か?
策定プロセスや事例を紹介

DCP(地域継続計画)とは何か?策定プロセスや事例を紹介

企業が講じる防災対策としては、BCP(事業継続計画)がよく知られています。しかし、東日本大震災レベルの大規模災害が発生した場合、BCPだけでは早期復旧が難しい可能性があります。
そこで注目されているのが、DCP(地域継続計画)と呼ばれる概念です。本記事では、DCPとは何か、その重要性や策定プロセス、自治体や企業の取り組み事例もあわせて解説します。

DCPとは

DCPとは何なのでしょうか。また、なぜ重要視されるようになったのでしょうか?

▶DCPの概念

DCPとは“District Continuity Plan”の略称で、日本語では「地域継続計画」といった意味になります。大規模災害が発生した際に、近隣地域を中心に連携し合いながら早期復旧を図り、地域の機能を継続させるための計画のことであり、東日本大震災を機に日本で誕生した概念です。あらかじめ地域全体で連携し、早期復旧に向けた合意形成を図っておくことにより、企業や自治体が単独で防災に取り組むよりも有効な対策を講じることができます。

▶DCPの重要性

東日本大震災が発生した当時、すでにBCPに取り組んでいた企業はありました。BCPとは“Business Continuity Plan”の略称で、「事業継続計画」を意味し、それぞれの企業が主体的に事業の早期復旧・継続を目指すという概念です。しかし、東日本大震災のような大規模災害が発生すると、ライフラインの影響はあまりにも広範囲におよび、企業を主体としたBCP対策だけでは不十分であることが露呈したのです。そこで、BCPのような企業主体の対策ではなく、地域という広いコミュニティを主体として考え、連携・協力するDCPが注目されるようになった経緯があります。BCPについて詳しくは、「BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説」で紹介しています。ちなみに、BCPとDCPの中間的な位置づけにあるMCP“Municipal Continuity Plan:市町村地域継続計画”という概念もあります。これは市町村単位で早期復旧・継続を目指すものです。

【参考】

【関連コラム】BCP対策とは?その目的と取り組む際の流れを解説

DCPの策定プロセス・事例

地域全体を主体として継続計画を考えるDCPには、具体的にどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。DCPの策定プロセスと、実際にDCPとして策定された事例を紹介しましょう。

▶DCPの策定プロセス

一般的には次のようなプロセスでDCPを策定します。
1.想定されるリスクの選定
はじめに、地域特性などを考慮し、災害時にどういったリスクが想定されるのかを具体的にピックアップします。
2.優先順位を洗い出す
次に、継続計画の優先順位を検討します。人命の保護・救助は最優先として、社会機能を維持するために優先的に復旧しなければならない施設などを検討します。
3.復旧手順の策定
最後に、大規模災害が発生した際に地域のなかで想定される被害をシミュレーションし、優先的に復旧するための具体的な手順や計画を策定します。BCPの策定プロセスも参考になります。「BCPの策定はどのように進めるべき?流れに沿って手順を解説」をご参照ください。

▶DCPの取り組み事例

実際にDCPを策定し運用につなげている2つの事例を紹介します。

  • 香川県でのDCP

香川県では南海トラフ地震を想定し、DCP対策として以下の5つの機能を優先的に復旧することを策定しました。

  1. 物流機能:陸路・海路の確保、高松空港の機能確保 など
  2. 司令塔となる重要拠点機能:最優先で復旧させる司令塔拠点の明確化 など
  3. 応援受援機能:司令塔拠点とは別の中間拠点の設置 など
  4. 復旧と復興のヘッドクオーター機能:各地域への権限移譲の検討、ローカルルールの設定 など
  5. ライフライン機能:災害復旧用資材や人材の確保、救援活動に向けた交通インフラの確保 など 
  • 愛知県の工業地帯でのDCP

愛知県碧南市の臨海工業地帯では市と商工会議所と企業が連携し、津波や液状化を想定したDCPを策定しました。当該エリアに立地している150の企業で現地調査を実施し、災害発生時には全社員が安全に避難できるよう日本語と外国語のマニュアルを作成。対象地域の関係者間でマニュアルを共有し防災意識を高めています。

▶企業によるDCPの現状

企業が主体となって取り組めるBCPですら「中小企業こそBCP対策に取り組むべき理由とは?取り組み内容も紹介」で解説しているとおり、まだまだ取り組めていない企業が多く存在します。DCPは比較的新しい概念であり企業の取り組み状況に関する調査データに乏しいものの、自治体との連携が必要となるため、BCP以上に進んでいないことが推測できます。また、BCP同様中小企業にとっては一層ハードルが高い取り組みと言えるでしょう。しかし、例えば介護施設や障害者施設など災害弱者になり得る方が利用される施設においては、あらかじめ近隣の会社や地域との連携をBCPに盛り込んでいるケースはあるでしょう。逆に、そういった施設の近隣の会社がBCPに盛り込んでいることもあるはずです。そのようなBCPへの取り組みは、広義ではDCP対策にもつながっていきます。また、上記の取り組み事例に挙げた愛知県碧南市のように、複数の企業が連携して足並みをそろえることで、効果的なDCP対策を講じられる可能性も十分にあります。

【参考】

【関連コラム】BCPの策定はどのように進めるべき?流れに沿って手順を解説
【関連コラム】中小企業こそBCP対策に取り組むべき理由とは?取り組み内容も紹介

BCPとあわせてDCPの対策も検討してみよう

南海トラフ地震をはじめとして、大規模災害はいつどこで発生してもおかしくない状況にあります。企業単独で行うBCPももちろん重要ではありますが、大規模災害を想定した場合にBCPだけでは十分に対応できない可能性もあるでしょう。多くの企業ではDCPに取り組めていない現状がありますが、他社や自治体との足並みをそろえながらDCP対策としてできることを検討し、少しずつ実行に移していくことが重要と言えそうです。