オフィスが停電した場合に考えられる
リスクと有効な対策

オフィスが停電した場合に考えられるリスクと有効な対策

大規模な停電が発生した場合、業務への影響が出るのはもちろんのこと、従業員の安全や健康が脅かされる危険もあります。オフィス内が停電した場合、どのようなリスクが考えられるのかを解説するとともに、企業における従業員の安全配慮義務の観点からどのような対策を講じておく必要があるのかを紹介します。

オフィスで停電が発生した際に起こり得るリスク

企業における停電のリスクを考えるうえでは、まずオフィス内にどのような設備や機器類があるのかを把握しておく必要があります。一般的なオフィスにある設備や機器類と、停電時に考えられるリスクは以下のとおりです。
 
(1)照明
〈停電時のリスク〉
周囲が見えなくなり転倒してケガを負う
心理的な不安を増長したりパニックを引き起こしたりする
(2)入退館システム
〈停電時のリスク〉
オフィス内に取り残される
オフィス内へ入ることができず、食料や保存水などを手渡せない
(3)空調設備
〈停電時のリスク〉
気温の変化に伴う体調悪化のリスク
(4)エレベーター
〈停電時のリスク〉
高層階からの移動が困難
身体の不自由な方の避難が困難
(5)複合機・プリンター
〈停電時のリスク〉
書類が印刷できず業務が滞る
(6)PC
〈停電時のリスク〉
さまざまな業務がストップする
シャットダウン時のデータ破損のリスク
(7)ネットワーク機器
〈停電時のリスク〉
社内外の連絡がとれなくなり業務がストップする
(8)スマートフォン・タブレット機器の充電器
〈停電時のリスク〉
充電切れにより連絡手段がなくなる
情報収集ができなくなる

オフィスにおいて停電が発生するとPCやネットワーク機器が使用できなくなり、通常業務がストップするといった影響が出ます。
また、大規模な停電の原因が地震だった場合には、早急な避難が求められることもあります。しかし、照明がつかない暗がりの状況下では、ビルからの避難が困難となる恐れもあるでしょう。
ほかには空調設備のストップによる熱中症のリスクも考えられ、命にかかわるケースもあるのです。

停電に備えて企業ができる対策とは?

オフィス内での停電に備え、企業が日ごろからできる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。人命を守ることはもちろんですが、事業への影響を最小限にとどめるために、対策しておくべき2つのポイントを紹介します。

▶労働環境・オフィス環境への配慮と取り組み

企業には労働者に対して「安全配慮義務」が課されています。安全配慮義務とは、労働者が安全に業務を遂行できるよう、あらゆる配慮をすることです。例えば、オフィス内に災害が起こった際に安全に避難できるルートを確保しておくことも、安全配慮義務に含まれると考えられます。

停電が発生するとエレベーターが使用できなくなるため、非常階段を使って避難しなければなりません。しかし、身体の不自由な従業員は自力で階段を降りることが難しい場合も想定されることから、万が一に備えて高層階ではなく低層階のオフィスに席を設けるといった対策も有効でしょう。

また、停電時に照明が消えて足元が見えなくなると、転倒してケガをする恐れもあるほか、空調設備の停止による熱中症リスクもあることから、このような危険に備えて、懐中電灯の準備や非常用の電源の確保といったことも重要です。安全配慮義務を怠った結果、従業員がケガや命を落とした場合、企業は安全配慮義務違反に問われ、刑事責任を追求される可能性もあります。

▶防災備蓄品の準備

公共交通機関がストップした場合には社内に数日間待機しなければならないことも想定されるため、停電や災害に備えて防災用品や非常食などの準備も必要です。代表的な備蓄品の例としては、非常食や保存水、毛布、簡易トイレ、充電器や非常用電源などが挙げられますが、詳細については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?
なお、防災備蓄品は長期保存が可能なものが多いですが、非常食や保存水には賞味期限があるためローリングストック法で管理しておくことも重要です。ローリングストック法については以下の記事で詳しく紹介しています。
ローリングストック法とは?企業が実施する際のポイントも解説
停電や災害に備えて従業員の安全を守るという意味では、防災備蓄品の用意も安全配慮義務の一環と言えるでしょう。自社にとって何がどの程度必要かを調べ、全社員に行き渡るように準備しておかなければなりません。

【参考】

【関連コラム】企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?
【関連コラム】ローリングストック法とは?企業が実施する際のポイントも解説

停電時に発生し得るリスクを精査し有効な対策を講じておこう

オフィスの規模や場所、従業員の数などによっても、オフィスが停電した場合に想定されるリスクはさまざまです。特に首都圏の場合、公共交通機関がストップすると数日間にわたってオフィス内での待機を余儀なくされることもあるでしょう。このような事態に備え、企業は非常用電源の確保のため、蓄電池や発電機などを確保しておくことはもちろんですが、避難生活が長期化した場合に備えて防災備蓄品も十分に準備しておかなければなりません。
 
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