介護施設に必要な防災対策とは?
解決すべき課題と取り組みのポイントも解説

介護施設に必要な防災対策とは?解決すべき課題と取り組みのポイントも解説

2024年3月までに介護事業所におけるBCP策定が義務化されました。
BCPとは、大規模災害が発生した際にも事業を継続し、早期の復旧を実現するための対策をまとめた計画です。これは、生命の安全確保を目的とする防災対策とは異なります。
介護施設におけるBCP策定についての詳細は、以下の記事で紹介しています。
「介護施設のBCP策定はどのように進める?課題や注意点も解説」
 
介護サービスは、多くの利用者にとって生命や健康に密接に関わる重要な要素です。そのため、介護施設においては防災・BCP対策は重要な役割を担います。大規模な災害から命を守るためには、まずは防災対策を講じていただくことが必要不可欠です。
本記事では、災害時に介護施設ではどういったことがリスクとなるのか、防災対策の注意点やポイントを詳しく解説します。

介護施設において防災・BCP対策が求められる理由

日本は地震や台風などの自然災害が多く、介護施設も被災することが想定されます。介護施設は高齢者や障害者などの健康や生命を守る重要な社会的役割を担っており、24時間365日のサービス提供が求められます。また、利用者に対する医療や看護、食事や入浴などのサポートといったサービス提供が不可欠です。地震や台風などの災害で被災すれば、これらは大きな影響を受ける可能性があるため、防災・BCP対策が必須と言えるのです。
このような背景もあり、令和3年度の介護報酬改定により、 2024年3月までに施設系・在宅系を問わず、介護事業所においてBCPの策定が義務化されました。
 
これに合わせて、ジョインテックスカンパニーでは、以下のような「介護・福祉施設向けBCP策定サポートメニュー」をご提供しています。
介護・福祉施設向けBCP策定サポートメニュー
BCPの重要性や策定の注意点については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「企業防災はなぜ重要?防災と事業継続から考える具体的な取り組み」
「介護施設・事業所におけるBCP策定が義務化!取り組む際の注意点を解説」

【参考】

【関連コラム】企業防災はなぜ重要?防災と事業継続から考える具体的な取り組み
【関連コラム】介護施設・事業所におけるBCP策定が義務化!取り組む際の注意点を解説

介護施設における防災対策の課題と意識すべきポイント

介護施設における防災対策で課題となるのはどのようなことでしょうか。4つの課題と意識すべきポイントを解説します。

▶避難計画の不備

介護施設には高齢者や障害者など、自力での避難が困難な利用者が多く存在します。そのため、介護施設ではすべての利用者が安全に素早く避難できるよう、利用者の身体的特性や健康状態などを考慮した避難計画の策定や実施が求められます。

▶職員の参集計画

災害時には、利用者の安全確保や避難支援のために多数の介護職員が必要となります。例えば、夜間に災害が発生した場合には職員の数が足りず、避難誘導に支障を来すことも考えられるでしょう。そのため日中はもちろんのこと、夜間においても職員を参集する計画を立てておかなければなりません。

▶医療設備・備蓄品の不備

介護施設においては、利用者の健康維持や生活支援のために、一般的な防災備蓄品以外にも必要な備蓄品や医療設備などがあります。それらを十分に用意しなければ、利用者の生命や健康に影響する可能性もあります。いざというとき、それらが不足しているということが絶対にないよう、十分な量を確保する必要があります。

▶防災訓練の不足

介護施設では災害時に迅速な避難ができるよう、年2回の防災訓練が義務付けられています。しかし、人手不足やノウハウ不足などによって、一部の利用者しか参加できないというケースや、十分な訓練が行えない介護施設もあるでしょう。日ごろの訓練が不足していると、災害時に適切な対応ができないことも考えられます。

介護施設の防災対策で必要な準備とは

前章の課題を踏まえたうえで、介護施設の防災対策において必要な準備には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

▶防災備蓄品の準備

防災備蓄品の準備は、防災対策の基本とも言えます。介護施設において用意しておくべき備蓄品としては、次のようなものが挙げられます。
 
(1)基本の防災備蓄品
以下のような基本の防災備蓄品を、利用者はもちろんのこと職員も含めた人数分を最低限準備しておきましょう。

  • 保存水
  • 非常食
  • 簡易トイレ・携帯トイレ
  • 毛布
  • 救急セット
  • マスク
  • ウェットティッシュ など

基本的な防災備蓄品の必要量は、「企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?」をご覧ください。
 
(2)非常用電源・自家発電設備
ご家族・関係先への連絡手段や情報収集手段確保のために、非常用電源やモバイルバッテリーなどの備えも重要です。また、停電によって医療機器や空調設備などを継続・安定して稼働させるためには、自家発電設備の導入も検討すると良いでしょう。これらの購入に際しては、補助金が出る場合がありますので、購入前に各自治体のWebサイト等を確認してみましょう。非常用電源については、「企業が蓄電池を導入するメリットとは?災害時以外の活用方法も紹介」も参考になります。
 
(3)おんぶひも・ベッド・マットレスなどの避難補助具
自力での避難が難しい利用者を安全かつ迅速に避難させるための補助具として、おんぶひもや利用者を寝かせた状態のまま搬送できるベッドやマットレスといった商品もありますので、利用者の状況にあわせた備えが必要です。以上のほか、利用者の日常生活や健康管理、さらには生命維持に必要な医療設備なども準備しておかなければなりません。

▶家具の固定

地震によって大きな揺れが生じると、ロッカーやキャビネットなどの家具が倒れてくることがあります。万が一のときに避難経路を確保するためにも、家具を固定しておくことが求められます。

▶避難計画の策定・避難訓練の実施

万が一の際でもすべての利用者と職員が安全に避難できるよう、避難計画を立てます。避難計画の策定にあたっては、以下のポイントを意識して検討することが大切です。

  • 緊急時に誰がどういった役割を担うのか、職員の役割分担を明確化
  • 連絡体制や連絡網の策定
  • 避難場所・避難経路の策定
  • 利用者に合わせた避難手段の策定 など

いざという時に落ち着いて行動できるよう、日頃から継続的に避難訓練を実施するとよいでしょう。

【参考】

【関連コラム】企業における防災備蓄品‐必要量の目安と選定のポイントは?
【関連コラム】企業が蓄電池を導入するメリットとは?災害時以外の活用方法も紹介

利用者の安全を確保するために、防災対策をしよう

今回紹介してきたように、介護施設の防災対策にあたってはさまざまな準備が求められます。人手不足により日常の業務で手いっぱいな状況のなか、防災対策のための準備まで手が回らないところも少なくないでしょう。しかし、大規模災害はいつ起こるか分かりません。

万が一の際にも利用者の安全を確保し、できる限り早く通常どおりのサービスを提供できるよう、今すぐにでも対策を講じておきたいものです。防災備蓄品の準備は、すぐにでも可能な対策のひとつです。しかし、どういった品目がどれくらいの数量必要か、判断が難しい場合もあるかもしれません。
そのような場合には、ツールを活用することも有効な選択肢になります。
 
例えば、防災備蓄品選定ツール「サクッとstock」を活用すれば、利用者および職員の人数と日数、備蓄品のカテゴリを入力するだけで、すぐに必要な備蓄品の品目と数量が算出できます。
 
また、購入後の備蓄品の在庫・期限管理には「サクッとkeep」がおすすめです。賞味・消費期限のある保存水・非常食などの期限が切れる前にメールでお知らせする機能のほか、期限間近の保存水・非常食の寄付申込機能、買替時のおすすめ商品提案機能などが充実しており、防災備蓄品の維持・管理業務の効率化ができます。
 
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